
〇公開 2014年5月10日
〇監督 矢口史靖
〇原作 三浦しをん「神去なあなあ日常」(徳間書店)
〇脚本 矢口史靖
〇音楽 野村卓史
主題歌 マイア・ヒラサワ「Happiest Fool」
〇受賞
第38回日本アカデミー賞
優秀助演男優賞
第69回毎日映画コンクール
男優助演賞
第18回富川国際ファンタスティック映画祭
最優秀アジア映画賞
第19回日本インターネット映画大賞
主演男優賞
ベストフンドシシストアワード2014
作品賞
〇視聴時間 116分
〇出演
平野勇気(染谷将太)
高校卒業後、大学受験に失敗し神去村へやって来た青年
中村林業の実習生
石井直紀(長澤まさみ)
神去小学校の教師、裕子のバイク好きな妹
飯田与喜(伊藤英明)
中村林業の主力メンバー、勇気の居候先の家主
飯田みき(優香)
与喜の妻
飯田しげ(小野敦子)
与喜の祖母
中村清一(光石研)
中村林業の社長、広大な山林の所有者
中村祐子(西田尚美)
清一の妻、直紀の姉
田辺巌(マキタスポーツ)
中村林業の従業員
小山三郎(有福正志)
中村林業の従業員
武藤(近藤芳正)
平野に半年間指導した林業組合職員
研修センター指導員(田中要次)
平野に実技を教えた教員
山根利郎(柄本明)
神去村の長老、地区会長の杣人
高橋玲奈(清野菜名)
勇気が通う大学の女子学生
「スローライフ研究会」メンバー
山本翔(永沼伊久也)
勇気と同期の林業研修生
内藤力(青木健)
葉山林業に配属された勇気と同期の研修生
勇気の父親(菅原大吉)
勇気の母親(広岡由里子)
〇作品紹介
毎日のんびりと過ごしてきた高校生の勇気は、大学受験に失敗し彼女からも振られてしまう。
友人と自棄気味にカラオケで騒いだ帰り道、勇気はたまたま表紙に美女が載っている「緑の研修生」というパンフレットを目にします。
興味を持った勇気は深い考えもなく、その冊子にあった"林業研修プログラム"を受けることにしました。
ほとんど乗客がいない列車を乗り継いだ勇気はスマホも圏外となる山奥の村に辿り着きました。
林業組合の人に連れていかれた研修場所には勇気以外にも十数人の研修生が集まっていました。
人里離れた場所で初めて体験する厳しい研修の数々をやり終えた勇気はさらに奥深い地区にある中村林業で実地研修を積むこととなりました。
荒っぽい先輩の林業従事者に厳しい指導を受け始めた勇気は、近くにあのパンフレットの美女が住んでいることを知ります。
それは、勇気の淡い恋心がかすかに揺れ始めた瞬間だったのです。
そして・・・。
〇雑感
少年よ、大木を抱け。
監督は「ウォーターボーイズ」(2001)「スウィングガールズ」(2004)「ハッピーフライト」(2008)「サバイバルファミリー」(2017)「ドールハウス」(2025)等の作品がある矢口史靖。
2010年にはラジオドラマとして放送されていた三浦しおんの原作を映画化した作品です。
三浦しをん作品の映画化だと松田龍平が主演した「舟を編む」(2013)等がありました。
まず、本作品のタイトルを初めて見た時にその読み方に戸惑う人が多いんじゃないかと思います。
神去は勇気が世話になる中村林業の人たちが暮らす村の名前で"かむさり"と読みます。
"なあなあ"は神去村の人々の言葉で「ゆっくり行こう」という意味ということですが、これ一般的には「相手の失敗を深く責めない」とか「恋人未満友達以上」といったあまり前向きではない馴れ合いみたいな感じで使われることが多いのではないかな?まあそれこそそのあたりは"なあなあ"でいきましょうか。
神去村は実在の場所ではなく、津市にある人口約1000人の美杉町でロケが行われました。美杉町(旧美杉村)は三浦しをんの父親の三浦佑之氏の出身地です。
美杉町の公式HPを見ると大文字で書かれた"田舎暮らし、はじめよう"というタイトル文字の下に"二ホンカモシカに会えるかも!"なんて書いてあるんです。タイトル下の写真を見れば高い緑の山々の手前に桜が咲いて段々の水田が広がっているというまさに日本の原風景的な景色が広がっています。
友達の多くが大学に合格したのに自分は不合格で彼女の玲奈からも見放された勇気は先行きに何のプランも持たない"どうにかなるさ青年"でした。
ある夜、そんな勇気がたまたま街中で目にした冊子に写っていた美女(=直紀)に惹かれたという理由だけで参加したのは三重県の山深い地域で行われた「平成二十六年度 緑の研修生 担い手育成対策事業研修」です。
やっと予定の駅で降りた勇気の携帯は圏外で、足元にはまむしが出現・・・
勇気たち林業研修生がこれから送る年間スケジュールは次のようになっていました。
4月~1ヵ月:基礎練習(講義、実習)
5月~来年3月まで:実地研修
3月:研修修了
勇気が講師を務めた与喜や駅までバイクで送ってくれた直紀と出会ったのもこの宿泊研修所がきっかけでした。
やりたくない作業ばかりに堪えきれず一度は研修所を逃げ出そうとした勇気ですが、それでもどうにか半年頑張って研修を終えることとなります。
他の研修生が指定された各自の引受先に向かう中、オンボロの軽トラが勇気を迎えにやって来ます。
4月の研修で怒られた講師の飯田が運転するその軽トラに乗せられた勇気の目的地はははるか山奥にある「中村林業」でした。
こうして約1年間にわたる勇気の実地研修がスタートするのですが、本作品の見どころはなんといっても「豊かな日本の自然」でありその中で連綿と続けられてきた「労働と人々の繋がり」と思えました。
とにかく様々なシーンで映し出される景色そのものが素晴らしいんです!
中村林業の先輩たちが切り倒した木を売りに出してセリにかけられる場面に立ち会った勇気は"もっとたくさん切って売ればすぐに大金持ちになれるんじゃないですか?"と聞いてしまい与喜から叱られます。
黙って天まで届きそうな高さに枝葉を広げるたくさんの木々について"親方"の清一は勇気を諭すようにこう話しました。
俺たちの仕事は俺たちの子供や孫の世代になって初めてその真価が評価されるのさ。
自分が生きているうちは成果が分からないなんて寂しい仕事だよな。
だけど俺のじいちゃんたちもそうやって山の仕事をしてきたんだ。
だから俺たちもどんどん木を切って儲けようなどと思うことはしない。
子供や孫たちに残すのが俺たちの使命と思っている。
毎日森の中で木と対面してきた勇気はある日、中村林業のみんなが食べる昼の弁当を持ってくるのを忘れてしまいますが、忘れものに気づいたみきに頼まれ直紀がバイクで届けてくれました。
川べりで直紀とおにぎりを食べ始めた勇気は飲み水を汲むためコップを持って川まで降りていきます。
小川の向こう岸に小さな土地の神様の石像があるのを見つけた勇気は、ためらうことなく自分が持っているおにぎりの半分をその石像の足元へそっと置きました。
こうした何気ない動作や何気ない日頃の会話の重なりが昔から続く「日本」や「日本人」というものをそのまま衒いなく映し出していると感じるのは日本に生まれたものの特権なのかもしれません。
他者に対する妙な批判的意図は全くありませんので、そのまま読み通して下さい。
現代社会の中で生き抜かねばならない勇気には過去の人が知りようもない彼ら世代特有の悩みや苦しみがある筈です。
ある日、玲奈と「スローライフ研究会」の学生が勇気の働く中村林業へ"陣中見舞い"にやって来ます。
都会の若者特有の「場をわきまえない言動」に腹を立てた勇気は彼らを強い口調で追い返しました。
その姿を目にしていたからこそ、清一や与喜は勇気を見習い「杣人」として認めたのではないでしょうか。
それによって、48年ぶりとなる大事な"大山祇大祭"の神事に参加できる40人の男の村人たちの中に勇気が参加出来たのだと思えます。
大山祇祭り当日、タイミング悪く勇気の両親が電話をかけて来るといったハプニングもありつつも、直紀の助けを借りた勇気は神事が行われる山頂へ無事に着くことが出来ました。
夜明け前の山に登り着いた神去村の杣人たちの前で清一がおごそかな太い声で読み上げます。
かけまくもかしこき おおやまづみのおおかみ
うぶすめのおおかみ くぐぬちのおおかみのおおまえに
つつしみうやまうもうさく
こたびしじゅうはちねんぶりのみまつりに
かむさりのやまやまのそまびとこぞり
くさぐさのまがごとなく ごしんぼくのながれおだやかにして
すみやかなるうちに ふせしすがたとなざしてめたまえと
かしこみかしこみもうす
後ろに控え立っていた長老の山根が木遣りを長音で発します。
おいえーおぃえぇー
おきはかむさーりー
よーやーよぉー
そして、神去村の杣人たちはお神酒をかけた大きな御神木を手にした斧で切り倒し始めるのです。
その後、切り倒され削られた御神木は長野県諏訪地方の「御柱祭り」で行われる"木落し"を彷彿させる儀式によって長い傾斜を滑り落ちていくのですが、その上に乗っているのがなぜか勇気なんですよね・・・
まあこのあたりはちょっとした"緩和"を挟んだということでしょう。
※実は深い深い意味があるとしたら、十分に読み取れなくてすみません。
1年間の神去村生活を終えた勇気は中村家と飯田家の人たちに見送られ1両編成の普通列車に乗って村を去りました。
追いかけてきた直紀と交互に大声で「さようなら」を叫び続けながら・・・。
大都会に戻り両親が待つ実家へ着いた直紀はしげさんから貰った「まむし酒」を玄関前に置いてから自分が行きたい場所へと歩き始めました。
その道の先に勇気と直紀の物語が始まるのかどうかは誰にも分らないことなのです。
というように、本作品はとても良質で文学的とも言える内容を持ったお勧めの逸品と言わせてもらうことにします。
登場人物を演じる俳優陣はすぐに分かる人たちばかりなので、野暮な説明は省略します。
と、ここまで書いてふと思ったのは「この作品、以前も取り上げたのではなかったっけ?」という点なのですが、過去ブログをチェックしても見当たらりませんでしたから、多分初めて載せたのでしょう。
まあ大阪の串カツじゃないから「2回載せはダメ!」ということでもないでしょうしね
アマプラで配信が始まったばかりの作品ですし、その他の配信サービスでも視聴可能となっていますから、ぜひトライしてみて下さい!

※こちらもポチッとお願いします!
その映画、結構前にアマプラで見ました。
私、長澤まさみが苦手なのですが(嫌いなのではなくて、気恥ずかしくて見ていられない)、
これは出演を知らなくて見ました。
やはり気恥ずかしくなって、なにかこうヒリヒリする感じになった困りました、
それはともかく、私、この映画好きです。
アマプラで復活したら、またひりひりしながら見ようかな。
私、長澤まさみが苦手なのですが(嫌いなのではなくて、気恥ずかしくて見ていられない)、
これは出演を知らなくて見ました。
やはり気恥ずかしくなって、なにかこうヒリヒリする感じになった困りました、
それはともかく、私、この映画好きです。
アマプラで復活したら、またひりひりしながら見ようかな。
1
chronoir2023さん、コメントをありがとうございました。
長澤まさみを見ると"気恥ずかしくなる"とのことですが、彼女が出ている作品は数多くありますので可能な範囲で楽しめたらいいですね(^^♪
長澤まさみを見ると"気恥ずかしくなる"とのことですが、彼女が出ている作品は数多くありますので可能な範囲で楽しめたらいいですね(^^♪
by django32002
| 2026-03-06 16:54
| 映画
|
Comments(2)

